郊外の太陽光発電所の野生動物トラブル
都心では大きな面積を確保することが難しいため、広い土地が必要となる太陽光発電所は多くは郊外に建設されています。周囲を自然に囲まれた郊外の太陽光発電所は、それゆえに自然に関するトラブルが発生することが多く、そのひとつが野生動物に関するトラブルでしょう。 改正FIT法によって50kW以上の太陽光発電施設にはフェンスの設置が義務付けられ、野生動物の侵入を防ぐようになったとはいえ、まだまだ野生動物に関するトラブルは報告されています。
近年、地球の温暖化など自然環境の変化によって、今まで姿を見せなかったところにも熊が出没するようになっているようです。そして郊外の太陽光発電所でもツキノワグマが出没し、点検中に遭遇するといった事例が報告されています。 郊外の太陽光発電所はもともと動植物の生息地であったというところも多くあります。そのため発電所の建設中は、人がいたり重機が入っているために姿を見せなくても、発電所の建設が終わると発電所は無人となりますから、生息していた動植物が戻ってくるのです。
またフェンスの設置によって野生の動植物の侵入を防ぐことができるようになりましたが、キツネやイノシシ、シカといった動物はフェンスを飛び越したり、イノシシの場合はフェンスの下を掘って侵入してくるという事例が報告されています。動物によるケーブル切断は問題ですが、イノシシのように土を掘る動物も問題です。 パネルを設置している場所やフェンスの下などの土を掘られれば、それだけ地耐力が弱くなりますから強風によって倒壊するなど、長期に太陽光発電所を運営する上で問題になってきます。
そしてクマについては遭遇した場合は命の危険があります。日本では北海道ではヒグマ、本州と四国ではツキノワグマが生息していますが、ヒグマは獰猛で、人が襲われて死傷者が出る事件も発生しています。無人で運営される太陽光発電所ですが、定期点検とメンテナンスは実際にスタッフが発電所を訪れて行います。 その定期点検にてクマに遭遇するという事件が発生しているのです。点検中にスタッフがクマに遭遇した事件では、スタッフが警察に通報をして事なきを得ましたが、その後クマは周辺住人への被害のことも考えて、最終的には警察の指示で、地元の猟友会によって射殺することが決まったといいます。このとき、クマは太陽光パネルの側にいたため、施設の安全性についても危険があったといいます。地球環境の変化と生態系の変化は太陽光発電にも影響を及ぼしているのです。
トラブル事例一覧